サマーソニック2014の見どころ、そしてサマソニ15年史について。クリエイティブマン清水社長インタビュー

日本を代表する音楽フェスティバルとして開催15年目を迎えるサマーソニック(今年は8月16日、17日に開催)。グラストンベリーをロールモデルとするキャンプ/レジャー型のフジロックとの双璧として、レディングに連なる都市型フェスを日本に定着させた同フェスティバルですが、これまでの15年間でどのような変化があったのでしょう? そして今年のサマーソニックはどんなコンセプトがあるのでしょう? 主催であるクリエイティブマンプロダクションの代表取締役 清水直樹氏にインタビューを行いました。



■今年のサマーソニックはずばりどういったラインナップになっているのでしょうか?

今年は15年という歴史を踏まえたバラエティーに富んだ集大成のようなラインナップになっていると思うんですね。今までだったら思い切りロックだけにフォーカスした年だったり、ポップだったりする年が色々あったと思うんですけど、今年はロックで言えばレジェンド級のクイーン、ロバート・プラント、クラフトワークがいて、世界の第一線のロックアーティストという点であればアークティック・モンキーズ、カサビアン、フェニックスがいる。ポップス方面ならアヴリル・ラヴィーンだったり、リトル・ミックスがいる。ソニックステージにはピクシーズ、メタル系としてはアヴェンジド・セヴンフォールドやメガデスがいる。今年は本当にすべてを網羅したようなラインナップになっていると思います。日本のアーティストとしてもドリームズ・カム・トゥルーだったり、スーパーフライ、SEKAI NO OWARIという人たちがいて、THE HIATUSのような常連もいる。すべてのジャンルのファンに訴えかけるラインナップになっているんじゃないかと思っています。

■サマーソニックは「清水社長だからできるラインナップ×レディングに影響を受けた都市型フェス」といったコンセプトがあったと思うのですが、これまでの15年間でそういったコンセプトが変わった瞬間はありましたか?

自分の中ではその年ごとに新しいチャレンジはあるんですけど、今第1回目のラインナップを見ると「基本的なところは変わっていないな」と思ったりもします。1回目のシガー・ロス、ミューズ、コールドプレイがその後ヘッドライナー級になったりというちゃんとした流れが組めているし、そのときに最も熱いグリーン・デイみたいな大物もきちんと出ている。そしてヒップホップやソウルのようなロックフェスと親和性が良くないように思われていた音楽も実は最初から扱っていて、ジェームス・ブラウンや、アレステッド・ディヴェロップメントが最初から出ている。その時からすでに15年間にわたるカラーは出せていたなと、今となっては思えます。ただ唯一そこに無くて、今ある要素としては、ポップス寄りなアーティストですね。ビヨンセだったり、レディー・ガガだったりテイラー・スウィフト、リアーナ辺り。そういったアーティストが出演するようになったことで、新しいオーディエンスをサマーソニックが獲得できた、次のステップに移れたポイントだった気がします。

■そういったポップ寄りのアーティストをラインナップに加えたのには、マーケットを広げたいという気持ちがあったのでしょうか?

マーケットを広げたいという気持ちは確実にありました。そこのヒントはブラック・アイド・ピーズがヘッドライナーを努めてくれた2007年の手応えです。すごくライブも良くて、お客さんもとても楽しんでくれていたので「こういう方向に行けるな」と思えたんです。そこを踏まえて2009年のレディー・ガガやビヨンセに繋がっていったという感じがします。

■その他のターニングポイントは?

レディオヘッドとブラーがヘッドライナーを務めた2003年ですね。あそこでサマーソニックという骨格がしっかりとできて、自分がパーフェクトに納得いくブッキングができた。そしてオーディエンスも一気に増えて、サマーソニックの支持層を確立することができたんです。そういった意味では2003年もターニングポイントじゃないかと思いますね。

■個人的にも2003年は初めてのサマーソニックでしたし、何よりレディオヘッドの「クリープ」に感動した記憶が今も鮮明にあります

あのライブはね(笑)ナイン・インチ・ネイルズの嵐のライブをはじめ、毎年サマーソニックでは色んな凄い瞬間というのは生まれているけれど、今もあの「クリープ」を観たりすると、あれほどの衝撃を超えるライブというのはなかなか無いなと思いますね。



■毎年のブッキングにテーマはあるのでしょうか?

最初からテーマみたいなのは作っていなくて「そうなっちゃう」というのが正直なところです(笑)ヘッドライナーに関してはテーマを持って交渉しますけど、ブッキングというのはなかなか上手く行くものではないので。最終的にカタチになったサマーソニックは最初のテーマとは同じじゃない、ということが多々ありますよ。ヘッドライナーを決めた時点で、さてどうしようと作っていくという感じです。

■今年も結果的に集大成に?

そうですね。1日目は明確なテーマができていたし、最初の発表を見てもらえれば分かるんだけど、アークティック・モンキーズ、アヴェンジド・セヴンフォールド、フェニックスという1日目のヘッドライナー級。その日がほとんど決まっていたけれど、残り1日は実はその時点ではほとんど決められていなかった。(東京)1日目のロックの日というのを明確に打ち出しながら、2日目はどうしようと決めあぐねながらやっていって、そのうち「集大成的な方向で行こう」というようになっていったというところですね。

■世界中でフェスが増えている影響はありますか?

10数年前はアメリカではコーチェラくらいしかなくて、ヨーロッパのグラスト、Tインザパーク、V、レディングがあった。そこにぶつからないようにブッキングすればよかったというのがあったけど、今はアメリカでもどんどんフェスが出てきて、アジアでもやるようになっています。ヨーロッパ、アメリカ、アジアという世界中で夏はフェスが行われるようになっているんです。南米でもフェスは開かれているのですが、夏は暑すぎるので少し時期をずらしていますね。ともかくブッキング的にはもう完全に戦いになるので、どんどん大変になってきています。

■そういった状況の中、サマーソニックで心がけていることを教えてください

最近はアジアでの連携ですね。韓国や台湾、中国、シンガポール、タイまで、まとまってオファーした方がアーティストも来やすいので、アジアのネットワークは強化しています。

■ちなみにフジロックには毎年行かれていますか?

1年目から毎年欠かさずに行っています。かなりのフジロッカーですね(笑)

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■B’z、X JAPAN、Mr.Childrenといったビッグな日本のバンド、アイドルの出演もサマーソニックの特徴だと思います。そこには邦楽のファンをサマーソニックに取り込みたいという思い、洋楽のリスナーに「でもみんなこのアーティスト来たら盛り上がるよね」というサプライズ的な狙い、どちらがあるのでしょうか?

まさしくその2つ両方ですね。B’zやミスチルで言ったらバンドのファンにもぜひ来てもらいたいなというブッキングでもあるし「そのあとミューズっていうバンドを観たけどカッコ良かったな」みたいに何かを持って帰って、洋楽ファンになってもらいたいみたいなのもある。そして洋楽ファンも「ウルトラソウル」が始まったら盛り上がってジャンプする、ミスチルだったら「あ、自分歌えるな」みたいな。そういうシーンが両方あればいいなと。今年だったらドリームズ・カム・トゥルーがそうなればいいなと思っています。

■サマーソニックの開催中、清水社長はどちらにいらっしゃるのでしょうか?

東京で会場中をぐるぐる回っていますね。とにかくライブを観ています。サマーソニックというのは自分もアーティストをブッキングしたその結果だから、その結果を見極めたい。アーティストのライブも、オーディエンスの反応も。各ステージを回って1曲でも観られるようにしています。あとは関係者やアーティストと会って話をする感じで、とにかく動き回っています。自分の部屋も用意しているので、休憩しながらですけど。とはいえ休憩室にもステージのモニターがあるので、休憩中も観られるようにはしていますけどね。

(取材・文・写真:照沼健太)

サマーソニック2014 オフィシャルサイト

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照沼健太

AMP編集長。好きな音楽は、インディーを中心としたリアルタイムなポップ・ミュージック全般と、50年代のロックンロール。
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