ブラーのベストソング10曲 by 久保憲司

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1991年にデビューして以来、英国的な知的さに富んだ魅力的なサウンドで90年代のブリットポップ旋風を世界中に巻き起こしたブラー。2014年1月に行われた再結成ツアーの日本公演も大成功に収め、今も絶大な人気を誇る彼らが、12年振り、オリジナルの4人編成での作品としては実に16年振りとなる最新作『ザ・マジック・ウィップ』をリリースした。そこでロックの生き証人であるフォトグラファー久保憲司さんに、ベストソング10曲を選んでいただきました。(編集部)

1. There’s No Other Way




ブラーはオアシスと並んでブリットポップを代表するバンドですが、その登場は「ザ・ストーン・ローゼズらマッドチェスターへのロンドンからの回答」という感じだったんです。ロンドンからのアンサーバンドというのは本当はフラワード・アップなのですが、ちょっと弱かったので、ブラーが出てきたときは「ついにロンドンからもマンチェスターのバンドに対抗出来るバンドが出てきたぞ」という感じでした。すごいサイケだし、この曲なんてシド・バレット時代のピンク・フロイドを90年代によみがえらせたような名曲です。今となっては、ギターのグレアムが「こんないいリフ出来たんだけど」とメンバーに聞かせて全員で「いいじゃん、いいじゃん」と作ったけど、プロデューサーに「今はダンサブルじゃないと」と言われてファンキーなビートループを足しましたというような曲に聞こえなくもないですが、でも名曲です。




2. She’s So High




というわけで、僕はサイケなブラーが好きなのです。ブラーのベストソングにこの曲入れる人は少ないですけど、サイケな曲をもう1曲。今聞くと、スウェードの元ネタみたいですね。ブラーがどれだけ凄かったか、分かりますね。




3. Popscene




そんな天才ブラーなんですけど、マンチェバブルの勢いでデビューしたけど、苦戦するのです。ブラーの歴史って、ブリットポップ→グランジと思っている人が多いと思うんですが、ブリットポップの前にグランジやろうとしたんですよね。これはその名曲です。のちのグランジ路線より1枚目のポップさが残るこのアメリカンハードコア、アメリカンインディな感じが好きです。音楽シーンへの怒りというより「ポップシーン」と歌うことによって、頭の悪い音楽ファンにも怒りを表しているところがいいですね。




4. Under the Westway




ブリットポップ時代の名曲を早くあげないとダメなんですけど、ロンドンの生活を最高に歌い上げた曲はこれでしょう。復活後の曲です。泣けます。ウェストウェイとは、ロンドンの首都高のような高速道路のこと。ロンドンの外観を壊す最悪な道路なんですけど「でも、これがロンドンだよな」という、ラブとヘイトが入り混じった象徴のようなものです。クラッシュの歌「London’s Burning」にも出てきて、ブラーの他の曲だと「For Tomorrow」「Fool’s Day」にも出てきます。この曲を聞いてデーモンは完全にレイ・ディヴィスをはじめとしたロンドンを歌ってきたソングライターたちと同じ位置に立ったなと思いました。涙すると書きましたが、僕はロンドンの西の子というより北の子なんで、ウェストウェイにはそれほど思いいれはないんですけどね。次にロンドンに住むときはウェストウェイが見える所に住みたいです。家賃が高すぎてもう住めないでしょうけどね。




5. Charmless Man




ブリット時代の名曲だと「Parklife」をあげないとダメなんでしょうけど、僕的にはレイ・ディヴィスの韻の踏み方とXTCな感じが見事にブレンドしたこちらの方が好きです。




6. Parklife




そんなわけにもいかないので、ブラーの名曲を。これは階級社会への皮肉への歌です。批判じゃないですよね、皮肉なんですよね。それが階級社会なんです。90年代にまだ階級社会というのが笑うでしょう。でも、このSNS時代になって、ついにイギリスも階級社会を潰すのでしょうか?




7. The Universal




デーモンの一番の名作は、今のSNS時代の問題点を予言したという意味ではこの曲じゃないですかね。当時はインターネットに希望しかなかったんですけど、すべてがつながった後の問題点をデーモンはよく分かっていたんですね。「時計仕掛けのオレンジ」をパロッたMVもいいですね。まさにそういうことです。




8. Coffee And TV




デーモンの名曲を紹介したので、次はグレアムの名曲を。アルコール依存症に陥ったグレアムが自分の気持ちを赤裸々に歌った歌。依存から立ち直るためには退屈になるしかないという歌ですね。たぶん、彼がブラーのレコーディングに来なくなったのはそういうことだったんだろうなと思います。大事なブラーを辞めてでも、依存症を克服しなければならなかった。そういう悲しさが歌われていますね。こちらもMVがいいですね。そういう歌です。




9. Beetlebum




ブラーは依存の歌が多いですね。こちらはヘロインの歌です。でも、名曲です。ヘロイン中毒時期のジョン・レノンの感じがかっこいいです。グレアムのギター、本当にいい音してますね。




10. Song 2




「Tender」「Girls & Boys」「This is Low」などを紹介しないうちに10曲に達してしまいました。これはグランジ時代のブラーの名曲。こちらもまたグレアムのギターが素晴らしい。この曲はアメリカでも売れました。グランジ以降のアメリカのサウンドを決定した曲かもしれません。グランジ以降のアメリカとは、ようするにザ・ストロークスとかザ・ホワイト・ストライプスですよね。こう考えるとブラー重要です。ブラーを考えるとポストモダン的な感じがしますが、ポストモダンでも時代を切り開き作っていけるということの証拠じゃないでしょうか。ザ・ビートルズの時代も、いつの時代も僕はポストモダンだと思いますけど。



(久保憲司)

Blur

The Magic Whip

Warner
2015

Amazon MP3 & CD
iTunes

久保憲司

カメラマン&ライター。「ダンス・ドラッグ・ロックンロール ~誰も知らなかった音楽史~」発売中。なんとNO2も出ました。「ザ・ストーン・ローゼズ ロックを変えた1枚のアルバム」 電子書籍「ロックの闘争」お仕事の依頼はkenji.kubo@m6.dion.ne.jpまで。

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