90年代イギリス最大のムーブメント「ブリットポップ」のベストソング10曲 by 久保憲司



久保憲司さんによる大ヒット記事となった「ブラーのベストソング10曲」、そして「オアシスのベストソング10曲」。お次は両者がその頂点として君臨した90年代を代表する音楽的ムーブメント「ブリットポップ」です。それでは「ブリットポップのベストソング10曲」をどうぞお楽しみください!(編集部)

1. Oasis – Supersonic




ブリットポップを代表するバンドといえばオアシス。これを聞けばブリットポップとはロックンロールの復権だったというのが分かるでしょう。オアシス自体はすごいサイケですが、サイケは味付けで、彼らがやりたかったことは70年代に突然イギリスで大ブレイクしたグラムやパンクと同じことだった。オアシスについて詳しく知りたい方は「オアシスのベストソング10曲」を読んでみてください。




2. Blur – Girls and Boys




そして、オアシスとともにブリットポップを代表するバンドといえばブラー。ビートルズとストーンズみたいにいいライバルじゃなく、完全に犬猿の仲だったのが面白いですね。両者とも未来に対するなんとも言えない不安を持っている部分ではすごく共通しているんですけどね。この曲なんか、ギリシャに行ってチャラチャラしてるんじゃないぜという歌ですよね。日本だと新島ですか、死語ですか、今の若い人たちはナンパなんかしないんですかね。イギリスは今でもイビサいったり、いろいろしてます。「ブラーのベストソング10曲」という記事も書いていますので、ブラーについてもっと知りたい方はこちらをどうぞ。




3. Suede – Animal Nitrate




実はブリットポップの始まりとは、オアシスとアドラブル(覚えてますか? 知ってますか?)と、このスウェードだったんですよ。ストーン・ローゼズの代わりになるバンドを業界が探して見つけたのが、このバンドたちだったということなんですけど。暗いよ、みんな。この歌なんて当時のイギリスの若者はエクスタシーやって、レイブ・オンしてたのに、ポパーズやって公団住宅でウジウジしている変態の歌ですよ。後に日本でも神聖かまってちゃんみたいな千葉のニュータウンの子がバンドを組んで登場しますけど、まさにそんな感じですよ。ギターのリフはニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリッツ」をやろうとしていたそうですが。デヴィッド・ボウイなリードギターもかっこいいですね。この人たちもボウイを意識してましたね。このリードはグラム時代の前「世界を売った男」の頃のボウイな感じですが。元々はザ・スミスを目指していたバンドです。ザ・スミスのドラマー、マイク・ジョイスもスウェードのオーデションを受けたんですけど、あまりにもザ・スミス過ぎるということで参加を断っています。




4. Supergrass – Alright




そんな中で本当に明るかったのがこの人たちです。今もっと再評価されてもいい、究極のポップロックですよ。この人たちにもグラムの要素が満載ですね。そこがツボだったとぼくは思います。グラムをやろうとしてるんじゃなく、イギリス人がポップさを出そうとしたら、グラムになっちゃうような気がします。ブリットポップじゃないですが、ザ・フラテリスなんかもそうだったですね。オアシスも一発目はグラムでした。




5. The Boo Radleys – Wake up Boo!




なんとなくみんな明るくなっていったんですよね。クールブリタニアに乗せられて。明るいというイメージをどんどんつけられていったというか、それが時代の流れだったというか。ブー・ラドリーズなんかまさにそういうバンドでしょうね。ブー・ラドリーズという名前は名作『アラバマ物語』の登場人物の名前ですよ。街の変人と思われていたブーが人種差別主義者から襲われた子供たちを救うあの感動のシーン、まさに「ウェイク・アップ、ブー」です。映画『ロッキー』が暗い結末を明るい結末に変えられて、それがいつのまにかレーガン政権という新自由主義のヒーローに変えられたように、イギリスのポップスもそういう運命を辿っていったのです。スタイル・カウンシルを90年代に蘇らせたようなこの歌を聴くと、そういう未来に警告をしていたとしか思えないから不思議です。




6. The Verve – Bitter Sweet Symphony




このバンドをブリットポップと言うのは語弊があるでしょうが、マッドチェスターの時は売れず、オアシスのノエル・ギャラガーに再評価され、ブリット・ポップの時代に売れたということで。むしろこの人たちだけがブリットポップに対抗しているような感じでした。テクノとかビッグ・ビートとか、実際に対抗しているものもあったんですが。このビデオなんかまさにそれです。でも、無理だったんですよ。




7. Pulp – Common People




それかこの人たちみたいに皮肉るしかなかった。ブリットポップをテーマとした映画『リヴ・フォーエヴァー』で、シンガーのジャーヴィスは「いやーコケインやって浮かれていたら、大変なことになってしまったんだよ。」と告白してました。まさに『ハードコア』(たいへん)というアルバムを出して、ブリットポップの夢は終わるのです。

本当に混乱してたんでしょうね。それがBRITアワードでパフォーマンスしているマイケル・ジャクソンのステージに乱入ということになったのでしょう。たしかにこのライブは見てたら「お前、そんなに世の中があかんと言うんやったら、買い物せんとお前のお金全部寄付しろ」という気になるのかもしれませんが、乱入はあかんよな。





 

8. Elastica – Connection




ブリットポップの夢を壊してばっかりじゃいけないので、エラスティカです。ニューウェイブ再評価の始まりといえばこの人たちですよ。アートパンクのワイヤーが90年代のポップスになるなんて誰が思ったでしょう。


9. Sleeper – Inbetweener




女性といえばこの人たちのことも忘れないで、スリーパー。ヘザー・グラハム、アン・ハサウェイな顔立ちがかわいいしょ。なんでもっと売れなかったんでしょう。オアシスのノエル・ギャラガーが「ブリット・ポップの問題点はアルバムで良いのが少ないんだよな。みんなシングルバンドだった。シングルだと悪くなかったりするんだよな」と言ってましたが、そういうことなんですよね。




10. Manic Street Preachers – Motorcycle Emptiness




最後はブリットポップに入れたらあかんバンドかもしれないですけど、ブリット・ポップの雛形となったバンドといえば彼らでしょう。MVは「ロスト・イン・トランスレーション」の元ネタのようですね。

このガンズ&ローゼズのようなリード・ギター、ロック・バラード、当時のイギリスのインディ・シーンではやってはいけないことをここまであからさまにやった彼ら、何をやってもいいんだということがブリットポップの始まりとなったのでしょう。モーターサイクル・エンプティネス、クール・ブリタニア(じゃないんですけど、新自由主義者が生んだんですけど)、格差社会を予言したかのような歌ですね。今ロンドンの家賃は2LDKで50万らしいですよ。誰がロンドンに住めんねん、勝者だけですよ。日本もほっといたら、そうなる確率大ですよ。



(久保憲司)

関連作品

Oasis

Definitely Maybe
Creation / Sony
1994

Amazon MP3 & CD
iTunes

90年代を代表するUKロックバンド オアシスのデビュー・アルバム。2014年には発売20周年を迎え、世界的な再評価が高まっている。

The Stone Roses

The Stone Roses
Sony
1989

Amazon MP3 & CD
iTunes

ザ・ストーン・ローゼズのデビュー・アルバム。リリース自体は89年だが、インディーとダンスの垣根を超え、90年代を定義付けたと言われる1枚。


久保憲司

カメラマン&ライター。「ダンス・ドラッグ・ロックンロール ~誰も知らなかった音楽史~」発売中。なんとNO2も出ました。「ザ・ストーン・ローゼズ ロックを変えた1枚のアルバム」 電子書籍「ロックの闘争」お仕事の依頼はkenji.kubo@m6.dion.ne.jpまで。

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