新作は「架空の東京のホテル」がテーマ。デヴェンドラ・バンハートが歌詞を書くときに聴く音楽とは

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カエターノ・ヴェローゾからエルヴィス、ビートルズ、イギリス諸島のフォーク・ミュージック、現在では消滅してしまっている1930年代のフォーク・ミュージックを独自の詩的な視点でフリー・フォーク~サイケデリックなロックとして展開した2005年作品『Cripple Crow』でブレイク。そして音楽のみならずペインティングアートや、シャネルのモデルなど、多岐にわたる活動を行う“アーティスト“として活動しているデヴェンドラ・バンハートが9th『エイプ・イン・ピンク・マーブル』をリリースした。その意外なルーツとは?

デヴェンドラ・バンハートのライフスタイル、ファッションについてのインタビューはGINZAにて掲載中



「東京郊外の寂れたホテル」をイメージしたレコード


■新作を作り始めたのはいつですか?

いつもアルバムの完成が近くなると、次の作品について考え始めるんだ。だから構想を始めたのは前作を作り終える前だね。これがもう9作目になるけど、今のところはいつもそういう流れで新作を作り始めているよ。今回のアルバムに関しては早い段階で大枠のコンセプトを思いついたんだ。アナログ盤には僕とNoah GeorgesonとJosiah Stienbrickの3人がスタジオで口論をしているフリをしているポスターが入っているんだけど、それはこういうビジュアルのポスターを入れようと最初から思っていたことのうちのひとつ。ミッソーニと三宅一生を足して割ったような、日本の庭師のスタイルと受刑者のスタイルをイメージしたものなんだ。

■サウンド面でコンセプトはありましたか?

ある特定の雰囲気を醸し出すものにしたいと思っていたよ。

■特定の雰囲気?

想像上の、東京郊外の寂れた地域にある今にも倒れそうな古びたホテル、そのロビーでかかってそうな音楽にしたいと思っていたんだ。

■なぜ日本なんですか?

単純に日本が好きだから、だね。日本の映画や文学、音楽、精神性、ファッションどれも好きだった。だからこそ自然と日本にレンズが向いていたし、日本へのリスペクトを表現したかったんだ。

■となると、使う楽器にも変化がありましたか?

寂れたホテルのロビーの雰囲気を出すために琴を借りてきて、日本製のシンセサイザーをいくつか用意したよ。シンセのうちいくつかは小型の電池で動くものだったんだけど、その電池を使い切るようにしていた。というのも、電池の寿命が切れる直前に弾くシンセの音が、心を締め付けるような音だったんだ。死を迎えるときの詩のような感じ。そしてノスタルジックな雰囲気も出るしね。

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歌詞を書くときに聴く音楽


■本作に影響を与えたレコードはありますか?

日本の音楽を沢山聴いていたよ。細野晴臣さんとか浅川マキさんとかから、雅楽、歌舞伎まで。そうした音楽の中に感じられる空間と音の繊細なバランスや、音楽の中に“無音”が取り入れられている日本ならではのミニマリズムをすごく研究したよ。

あとは歌詞を書くときに聴いていた音楽かな。歌詞を書くときには集中力を邪魔せずに雰囲気を作ってくれる音楽を聴くんだ。暖炉に火をつけるのと同じように、雰囲気が出たり部屋が暖かくなったりするような音楽をね。具体的には、アリス・コルトレーンやファラオ・サンダース、ジョン・コルトレーン。ハロルド・バッド、ブライアン・イーノ。それから細野晴臣さんが作った無印良品の店内BGM「Talking」。僕だけじゃなく僕の周りのミュージシャンも細野さんのことはすごくリスペクトしていて、世界中でもトップ5にいるミュージシャンだと思っているよ。

■そんなに日本から影響を受けているとは気付きませんでした。

そう、ここにはパラドックスがあるんだ。すごく日本から影響を受けているけど、作品の中には決して“日本”という言葉は使いたくなかったんだ。

■なるほど。

どんな悪い曲でも「日本を参考にした」と前面に出せば「これは日本を参考にしたんだ」と思われて、色々決めつけられてしまうと思ったんだ。音楽以外のものからも影響されているのにね。例えばそう、遺伝子を勉強している友だちがいて、彼に人間の心臓の細胞を顕微鏡で見せてもらったんだけど、細胞の動きにはリズムがあってそれ自体が音楽を奏でているみたいなんだよ。そういうのもインスピレーションの源になっているんだ。

(取材・撮影・文:照沼健太)

デヴェンドラ・バンハートのライフスタイル、ファッションについてのインタビューはGINZAにて掲載中

2017年4月20日にビルボードライブ東京、22日にビルボードライブ大阪での来日公演が決定。詳細/予約はビルボードライブ東京 (03-3405-1133)まで。

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照沼健太

AMP編集長。好きな音楽は、インディーを中心としたリアルタイムなポップ・ミュージック全般と、50年代のロックンロール。
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